インバウンド(訪日外国人需要)対策の重要性とは?多言語サイトの強みとは。
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インバウンドとは?
インバウンド(inbound)という言葉には「到着する、入ってくる」という意味があります。この言葉の使われ方業界によってさまざまですが、旅行業などの業界では「外国からの旅行者」を指します。
つまりインバウンド需要とは、日本に訪れた外国人の日本国内で生み出された商品やサービスへの需要です。
近年のインバウンド需要と多言語対応の重要性
外国人が旅行などで日本に訪れて、観光地などで買い物をするなどの消費活動が近年ますます活発化しています。
その勢いはコロナ禍以前を上回るほどで、規制が緩和された2023年には訪日消費額は約5.3兆円と、初めて5兆円を超える水準へと急速に回復しました。
円安の状況下も相まって、今後も訪日観光客は増え続け、日本経済にとっても大きな柱となることが予想されます。また、ビジネスの側面においてもインバウンド需要を含めた海外を大きな市場として目を向けることで、チャンスをひろげることができます。
インバウンド需要の取り込みにおける多言語Webサイトの強み
では、多言語化に対応しインバウンド需要を意識したサイトには具体的にどのような強みがあるのでしょうか?
Webサイトという媒体であることと合わせて、どんな利点があるのかを解説します。
出発前の旅行客にビジネスをアピールできる
多くの外国人観光客が日本旅行を計画する際に、SNSや検索エンジンを活用して現地情報を調査しています。自国で日本について調べ、訪れる場所や購入するものを決めようとしている未来の訪日客に対し、Webサイトを通じて効果的に情報を提供できる点は非常に大きな強みと言えるでしょう。
スムーズな観光になり、訪日客の満足度を上げることができる
旅行中にも、母国語で分かりやすく案内されることは、訪日外国人客にとって観光がスムーズに進む助けになります。日本語が理解できなくても、わかりやすい言葉で丁寧に案内してくれるサイトは、信頼感を高めることにもつながるでしょう。
SNSとの相性が良い
Webサイトがインバウンド需要を取り込むのに適している理由の一つは、SNSとの親和性が高いことです。
前述の通り日本旅行に向けて出発前に多くの外国人観光客がSNSでも情報収集を行っています。そのため、SNSを通して認知される機会も十分にあるでしょう。
SNSを通じてビジネスの認知度を高め、興味を持ったユーザーに対して詳細な情報をWebサイトで提供する体制を整えることで、効果的に外国人観光客にアプローチすることができます。
インバウンドや海外を意識する際に重要な要素とは?
様々な国の人が見ることを意識したサイトでは、多言語化はもちろん、日本のみをターゲットとした場合に比べ、文化などの側面からも意識すべきことがたくさんあります。
では、海外顧客向けのサイトではどんなことを意識したサイト制作が重要となるのでしょうか?
国ごとのカラーイメージを意識する
色に対する印象は、国によって大きく異なります。
日本では縁起が良いとされる色が海外では縁起が悪いとされたり、逆に、日本では人気のない色が他国では人気のカラーであることもあります。さらに、日本人が持つ「色に関する常識」が他国では通用しない場合もあります。そのため、ターゲットとなる国の人々が好む色を選ぶことが、重要な要素となっています。
国ごとのカラーイメージ例
下記は、インバウンドで大きな需要となる中国と欧米のカラーイメージの目安についてまとめています。
近しい印象のカラーもありますが、国が変わればまるで真逆の印象をもつのカラーも存在します。
赤 | 日本:情熱、炎、生命力 / 中国:幸運、祝賀、発展 / 欧米:興奮、革命、危険 |
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青 | 日本:知的、冷静 / 中国:健康・信頼・落ち着き / 欧米:性的表現 |
緑 | 日本:エコ、癒し、平和 / 中国:不貞 / 欧米:若い、未熟、不気味、毒 |
黄 | 日本:楽しい、活発 / 中国:性的表現 / 欧米:裏切り、臆病 |
黒 | 日本:葬式、死 / 中国:負、違法 / 欧米:死、不吉、高価、優雅 |
白 | 日本:神聖、清楚、潔白 / 中国:高貴、葬式、不吉、死 / 欧米:純潔、清潔、降参 |
国外では馴染みのないものや文化については、より丁寧な解説が必要
多くの日本人にとって馴染み深い文化やサービスでも、日本国外の人にとっては初めて見る、あるいは体験することが多いです。
そのため、日本固有の文化については、日本向けの説明以上に丁寧な解説が必要とされる場合があります。
・伝統文化のこと(座敷では靴を脱ぐ等、日本人にとって当たり前なこと含む)
・食文化(食材についてや、独特の食べ方やルールを要するものなど)
・その他、日本人に馴染みのあるシステムなど
記号の意味合いの違いなどに注意する
日本と海外では、日常的に使われている記号の意味に違いがあります。たとえば、「○」は日本では「正解」や「可能」を意味しますが、欧米では通用しません。そこでは「○」はしばしばempty(空)や否定的な意味を持ちます。同様に、「△」も日本では曖昧な評価や少量を示す記号ですが、欧米では理解されないことがあります。
さらに、「✓」というチェックマークも日本と欧米で異なります。日本ではテストの採点で「間違い」を意味しますが、欧米では「正解」を示すのが一般的です。
また、ゲームのコントローラーなどでも、「○」と「×」が逆の意味で設置されているとのこと。
これをWebサイト上の表記として考えると、とても重要な要素の一つであることがわかります。
例えば洋服のサイズの在庫状況や予約の可否を示す表記などは、国外のユーザーに混乱を招く可能性があります。
日本では一般的な表記でも、国際的に通用するかどうかを注意深く検討する必要があります。適切な表記を行わないことは、機会損失につながってしまうこともあるのです。
デザインに求められていることの違いを考える
国民性や各国の背景から、好感を持たれやすいデザインも変わってきます。
規模の大きい企業などでは、ターゲットとなる国別に大幅にデザインを変更した専用サイトを用意していることもあるほどです。
ここでも日本、中国、欧米を中心に取り上げながら、どのようなサイトデザインが好まれる傾向にあるのか解説します。
日本で好感を持たれるWebデザインは『便利・見やすい・わかりやすい』
日本のWebサイトは情報が探しやすいよう整理されており、見やすいレイアウトと分かりやすいボタンでユーザーが求めている情報に最短でたどり着けるよう工夫されています。
そのためとくに欧米諸国と比較すると、トップページの情報量が多くなる傾向にあります。
日本向けサイトのポイント
・一目見て何のサイトかが分かる
・レイアウトや情報が整然としている
・どこに何の情報が配置されているのかが分かりやすい
・説明文を多めに載せることで充実した情報を伝えている
・統一感を持たせた配色
欧米で好感を持たれるWebデザインは『視覚的なインパクトが大きくて大胆』
アメリカのWebデザインで重視されているのは視覚的なインパクトです。
派手な色使いや大胆なグラフィック、大きな画像などを活用し、目を引くデザインを追求します。ユーザーに強い印象を与えることでブランドの鮮明なイメージを伝え、製品やサービスに興味を持ってもらうことを目的としているからです。
欧米向けサイトのポイント
・大きな画像を用いてユーザーに興味を抱かせる
・文字は少なく、余白を活用している
・表現やメッセージ性、ブランディングが重視されている
・体感的なコンテンツを提供する
・ボタンの数が少ない
・色彩はシンプルに統一されている
中国で好感を持たれるWebデザインは『派手で華やか&情報ぎっしり』
中国では「情報は多い方が良い」と考える傾向にあり、情報を敷き詰めるようなデザインを好みます。色合いもカラフルで、華やかな印象のWebサイトが人気の傾向にあります。
中国向けサイトのポイント
・長いページが多い傾向がある
・点滅や光る装飾で賑やかで華々しい雰囲気を出している
・隙間なく情報を敷き詰める
・多機能やお得感をアピールしている
さいごに
インバウンドなどの海外顧客を視野に入れてサイトを制作するにあたり、どのような点を意識するべきか解説しました。今回取り上げた項目に関しては一例で、さまざまな国への需要を意識したサイトを制作するにあたってできる工夫は多岐にわたります。
弊社でも多言語に対応したインバウンド向けサイトの制作を承っております。もし海外顧客を意識したサイト制作をお考えの際は、ぜひ弊社にご相談ください。